話したい事は山ほどあるけど…。
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new vegas ~Traveling Outsider~ #7 ゲート
2010年 12月 10日 (金) 00:50 | 編集
「繰り返すが本当に『リージョン』が襲撃したんだな?」

小さな部屋に通された俺はここのトップであるレンジャー・ジャクソンからたび重なる尋問を受けていた。
まぁ、知らない男がやってきて敵対する『リージョン』から伝言を頼まれたと言えば、当然だろう。

「何度も言うが間違いない。あんな酷い光景は初めてだ。」

いまでも鮮明に思い出せる…見せしめの為の処刑。おかげで食事も気が進まない。

「連中は歯向かう者には容赦がない。そして処刑をし『逆らえばどうなるか』と脅すのさ。」

よこの窓を見つめ、ジャクソンは鼻まで繋がった髭をこすりながら言った。
サングラスとカウボーイハットで表情は掴みにくいが、困り切っていることは判り切っている。
ニプトンから西に戻ったところにあるこの『モハビ前哨基地』はモハビ南部の支えであり、司令部にあたる。
しかし、その実情は以前ならそこから北西へと進めた『西キャラバンルート』にレイダー(野盗)や
ミュータントの進出を抑えきれず『ルート封鎖』という苦肉の策で取りつくろうのが限界の規模なのだ。
兵も足りなければ物資も足りない。ルート封鎖に困ったキャラバンが泊りこんでもいるが活気がない。
これはここでの売買の少なさを物語る。元運び屋のカンだが…

川を越え『リージョン』が現れたということは、この基地に危険が迫っているということ。
そしてこの前哨基地は対抗できる戦力を有していない。
俺の言葉が嘘かも知れない、罠かもしれない、数名の偵察部隊でさえ慎重にならざるを得ないだろう。

「それとひとつ…これは私個人の質問なのだが…」

「あぁ?なんです?」

「バルプス・インカルタという男…リージョン尖兵隊の指揮官だが、どういう男だった?」

変わった質問だな。
劣勢な状況で寝返ろうとでもいうのだろうか?

「そうですね…しいて言えば堂々としていて、狂気の兵というか…哲学者のようでもありました。」

力の行使を躊躇するな。己が目的を果たせ。まるで俺に向けられた言葉だ。
そう、だからあの殺戮劇をおこなった男に嫌悪感をイマイチ抱ききれない。共感さえ覚えそうになる。

「でも、あんな犬の頭かぶったイカレ野郎が哲学者なら、俺はモハビの救世主(メシア)さ。」

だが、俺は違う。断じて。
俺は俺の目的を果たす。銃を手にし復習を果たすため進む。
だが、あいつとは違う。狂気になど酔ってはいない。
こうやって俺は刃物を向けず話ができる。銃もいらない。

「銃を抜くときは必要な時だけ」

「ん?何か言ったか『救世主』?」

「あぁ、いや、なんでも」

小声で呟く声が漏れた。

「では、これで君を開放する。拘束してすまなかったな、プリム以来NCRに協力してくれる救世主に対して。」

「いや、あれは成り行きで…それより、先ほどのジャイアントアント退治の報酬は…」

「あ、あぁ、そうだったな。しっかり覚えていたか…ははは、すまんな。」

まったく、この基地は報酬のライフル一丁を誤魔化したいくらい物資に乏しいのか。
リージョンの仲間扱いされたあげく、アリの追い払いをタダでしたんじゃ本当に神様にでもなっちまうよ。

「すまない、コレだ。NCR標準装備の軍用ライフルだ、程度は悪いが修理キットもつけよう。
これも一応『紛失品扱い』なんだ。もし他のNCRに聞かれたら死体から剥いだとでも言ってくれ。」

使いこまれたライフルと修理鞄、数十発の弾を受け取ると俺は司令部を後にした。

「ではまた、アウトサイダーよ。」

司令部のドアを開けると主人を待ち焦がれた飼い犬のようにエディが寄ってくる。
「この野郎、肝心な時はレーダーアラームを鳴らさないくせに。」
pipipipipi…とトーンダウンの音をならし、返事をした。
エディの荷物ハッチへ受け取った弾をしまった。これは『取っておき』にしよう。
仮にも軍の正規ルート品、モノは確かだ。そうすると今度は当面分の弾薬がいる。

司令部の横には兵の宿舎を兼ねる商店がある。
ここで弾と水、そして今は食べたくない食い物の用意を整えよう。
司令部と同じ構造の建物のドアを開くとカウンターと行き来する兵隊たちが見えた。
商店が宿舎内にできたのか、商店を宿舎として借りているのか…どのみちジリ貧なのだな。

「リージョンに助けられたって人?はー…私の運が下がるわ。で、なに?」

悪態をつく細い黒人女性の売り子にキャップを差し出し、買えるだけの5.56mm弾を頼んだ。
残った金で水(あいにく汚れたものしかなかったが…)そしてポークビーンズの缶詰と…

「修理はできる?」

「修理なら司令部受付のナイトのカマ野郎に言って。」

そんな買い物の会話に横から声をかけてきた女性が居た。

「ねぇ?ウィスキーは買わないの?買うのならついでに一杯おごってよ。」
02.jpg

キャラバンの数人に交じってカウンターに座っていた彼女はキャラバンのガードだろうか、
背中に銃、テンガロンハットにウェスタンシャツと言う『いわゆるカウボーイ』の恰好をしていた。

「ちょっとキャス、絡まないでよ。嫌な客が長居するじゃない。」

「いいじゃないの、タダ酒のチャンスなんだからー、ねぇ?どうなの?」

酒を飲むとあまりいい思い出ながい俺は飲まない主義だ。同じなら綺麗な精製水の方が断然美味い。
荒廃した世界では珍しいと我ながら思っているが。
しかし、手に残ったキャップとウィスキーの値段が同じなのも何かの縁だろう。

「あぁ、俺はやらないがお嬢さんに一杯おごろう」

「やりぃっ、お嬢さんだなんてお世辞までくれちゃってありがとう」

売り子は嫌な顔をしながら奥からウィスキーを持ってきた。
ラベルからするとこの辺の都市でサルベージ(採掘)した年代物だ。

「ここは弾はないけど、酒は一流なのよね。あぁ、男も玉無し野郎ばっかり、ふふふ。」

「上機嫌だね、『カウボーイ』」

『カウボーイ』と言う言葉に怒ったのか、それとも本心を話すからなのか、彼女はキリッとした顔を急に向けた。

「そうでもないわ、ロボットのお供を連れた『ドロシー』ちゃん。
こうみえて小さなキャラバンのオーナーだったのに、それらがみんなレイダーに焼かれてお終い。
父の代から続いた『キャシディキャラバン』もこれまでよ。
ルートは北西部の封鎖、キャラバン隊は消失。美味いお酒でも飲まないとやってられないわ。」

そういうと彼女はまた一杯飲み干した。

「あなた噂の『よそ者さん』でしょ?これから東を通って北部へ行くの?
だったらクリムゾンキャラバンに仕事の口を聞けばいいわ、あそこは大手だし…いいわよねぇ…
路銀に困ったり北部にしばらく滞在する気になったら顔をだすといいわ。
一緒に仕事したこともあるのキャシディキャラバンの知り合いだって言えば通してくれるはずよ。」

確かプリムで助けたやつがそこの奴だったな…

「ありがとう、キャシディ。おごった甲斐があったよ。」

「キャスでいいわ、ミスターアウトサイダー。玉無し野郎どもと話すより、よっぽど楽しかったわ」

酒の匂いの残る店を出ると夕日が沈むころあいになっていた。
夕日に照らされた基地入口の『手をつなぐ平定』の像が誇らしげにそしてどことなく寂しげに立っている。

「平定ねぇ…中の人たちはとっては皮肉でしかないな。」

巨大な像の足元をエディと抜け、一路来た道をニプトンへと再度進めた。
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